第二県女二年西組
一昨年、義理の母が亡くなり、今年の2月で2年になった。母は14歳の女学校生の時被爆している。今の皆実高校の前身、第二県立女学校の出身である。この第二県女の被爆について記録した「第二県女二年西組」という本がある。第二県女二年西組の生徒は45人、8月6日当日、欠席者の6人を除く39人が雑魚場町(現在の国泰寺町付近)の建物疎開作業中に被爆、一名を除き全滅した。その欠席者の一人で生き残った関千枝子さんが一人ひとりの遺族を尋ねて、その被爆から死に至る経過を聞き取り調査して本にまとめた力作である。感情を抑え、客観的に生徒たちが被爆をして救助を求めて逃げていった様子や娘を探す肉親などの姿が綴られている。大半の生徒が2週間以内に死亡。特に、最愛の娘を探し死に別れた父や母の無念の気持ちはあまりにも深い。また、この本でこうした少女までもが「国のために亡くなった」として靖国神社に祀られていることを知り、驚きを禁じ得ない。
実は母もこの第二県女二年西組の欠席者の一人があった。当日は建物疎開に持っていく道具がないとの理由で欠席し、自宅で被爆した。初版本では母は行方不明となっていたが、偶然に妻がこの本を読んだことで、関さんとつながり、60数年ぶりの再会となった。そして、その顛末が増補版に記さられた。関さんは被爆死した少女たちを靖国神社へ祀ることは違憲と裁判を起こしている。80歳を過ぎてもなお意気軒昂である。今年は被爆70年、幾多の青春が犠牲になったことか、このことは絶対に忘れてはならない。核兵器の一刻も早い廃絶にむけて力を合わせよう。