連載企画「たかさんの独り言じゃけ」Vol.4
連載企画「たかさんの独り言じゃけ」Vol.4
昨年、「赤旗日曜版」の「人」の欄に登場した北方謙三さんに興味を持って、北方版水滸伝を読み始めた。水滸伝の原典は北宋末期、龍虎山の伏魔殿から解き放たれた108の魔星が人間に化身して、梁山泊に結集。北宋の腐敗役人に叛乱を起こしたが、頭領の宋江が朝廷の招安を受け帰順し、矛先を北宋への叛乱軍や外敵にむけ、それを撃つというもの。一方、北方版北方版は原典とうって変わり、「替天行道」の旗のもと、梁山泊に結集した好漢たちが腐敗した北宋を打倒し、新しい国をめざす革命物語で、実におもしろい。これが北方「大水滸伝」51巻の第一弾だ。
それに続く第二弾が「楊令伝」。北宋に敗れた梁山泊が新たな頭領・楊令を中心に再起をめざし、北宋を打倒する。民衆のために、皇帝を戴かない国づくりの活路を商業・自由市場に求める、新しい世代の梁山泊の活躍を描く。水滸伝は地理的には今の中国山東省の梁山湖から宋の都・開封(河南省)に至る中国の中心、いわゆる中原という地域が主戦場であったが、楊令伝は、交易の道を開くこともあり、南は臨安府(杭州)、北は会寧府(ハルピン)、西は西遼(新疆)、そして東は日本まで広大な地域を舞台に壮大な歴史ドラマが展開される。民衆を救うという楊令の夢は破れるが、夢の続きは好敵手・岳飛に受け継がれるか。大水滸伝は第三弾の「岳飛伝」に続く。