連載企画「たかさんの独り言じゃけ Vol.12」
日に日に寒さが増し、冬の到来を感じさせるようになってきました!
カメムシが多い年は雪がよく降る(?)と言いますが(地域によるかもしれません)、実際にはどうなのでしょうか?
今回は広島医療生協・前専務理事の斉藤孝司さん執筆による「たかさんのひとりごとじゃけん Vol.12」を投稿します。
『曼殊沙華(まんじゅしゃげ)』
11月8日の中国新聞で宮部みゆきさんの「三島屋変調百物語」の連載が始まりました。「探偵・杉村三郎シリーズ」と並び、宮部さんのライフワークのひとつです。
江戸で人気の袋物屋・三島屋の主人・伊兵衛が始めた、自らの屋敷の「白黒の間」に故ある話し手を招き、恋愛のもつれで惨劇に会い、深く傷ついた姪のおちかを聞き手とする少し変わった「怪談話」。
話し手がおちかに向かって、心の痛み、後悔心などを話すことで解き放たれていくと同時に、おちか自身の傷ついた心も癒されていく。こわくも不思議な話の数々、思わず、話に引き込まれてしまいます。
時代小説であるが、現代の優勝劣敗・競争社会が生み出す人間の愚かさや身勝手さを投影しており、そうした暗部からの人間性の回復を描き、共感するものがあります。
すでに三十数話にもなっている長いシリーズで、聞き手も伊兵衛の次男・富次郎に代わっているといいます。いずれにしても「三島屋変調百物語 よって件のごとし」がこれから毎朝楽しみです。
(秋の花、彼岸花は別名曼殊沙華とも呼ばれています)