連載企画「たかさんの独り言じゃけ」Vol.1
今回から広島医療生協の前専務理事の斉藤孝司さん執筆による連載企画「たかさんの独り言じゃけ」が
スタートします!
平和に向けての取り組みから、趣味に至るまで幅広い内容を不定期ではありますがおおよそ1ヶ月に1回の投稿を
予定していますのでお楽しみに(-ω-)/
『ヒロシマの碑①』
峠三吉の原爆詩集のなかに「倉庫の記録」と「仮繃帯所にて」という詩がある。
峠は、爆心地から約3㎞の翠町の自宅で被爆し、ガラスで左腕を切創したが、ほかに外傷はなく、近傍で焼け残った
被服廠の2階に避難してきた。この2編はその時見た様子を詩にしたものである。
「倉庫の記録」は被爆直後から8日間の被服廠の2階に逃げてきた被爆した人々の惨状を描いたものだ。
詩のリズムはあるが、やはり「記録」に近い。逆にそれゆえに、その生々しさがいっそう被爆の実相を伝えている。
一方、「仮繃帯所にて」は、さきほどまでは愛らしかった女学生が人間から遠いものにされはてた有様を描き、
原爆の残虐性を告発している。原爆詩集のなかでも屈指の作品だろう。ぜひ、原爆詩集を手にとってほしい。
被服廠跡は戦後、持ち主が変転としたが、現在は広島県が所有している。峠の見た記憶をとどめるためにも、
「被爆遺跡」して整備をしてほしいと思う。
斉藤孝司